マイナンバー違憲訴訟東京、第6回口頭弁論
裁判所の夏休みが明け、先月29日にようやく開かれたマイナンバー違憲訴訟東京、
第6回口頭弁論の模様をレポートします。
まず予想もしていなかった事態に直面したのですが、裁判長が突然交代したのです。
後任の裁判長の件は後で書くとして、今回の口頭弁論では被告である国が求釈明に対する第2準備書面を陳述する予定でしたが陳述はなく、国側は書面の提出のみで済ませました。
代わりに原告側代理人が求釈明を口頭で述べたのですが、案の定、被告側の回答書は薄っぺらで内容のないものでした。
後任の裁判長が女性だと知った時は有利に働くのではないかと考えたのですが(女性は組織の論理に従うとは限らない)、それが甘い認識だったと直ぐに思い知らされます。
裁判長は原告側に今後の見込みを執拗に尋ね、裁判のスピードアップを図ろうという
意図を隠そうとしないのですが、法曹というより事務的な官僚に近い人物です。
前任者から仕事を引き継いだばかりでありながら、この裁判を長くやっていても仕方がない、キリの良いところで早々に結審したいという意図が見え見えで、正直なところ
不快になりました。
裁判長と被告側の代理人が怪しい目配せを交していたのも筆者は見逃さなかったのですが、陰謀めいた匂いがすると言いますか、この時点で一審の判決文が目に浮かぶような気がしました。
弁護士会館で開かれた報告集会ですが、 裁判長の提案で口頭弁論後に今後の見通しを
話し合うという名目で原告、被告の代理人を引き留めたため、集会の参加者だけが先に会場で待機することになりました。
そこで、原告代表の提案で参加者が簡単な自己紹介をすることになったのですが、様々な経歴や動機をお持ちの方がいらっしゃると知り、有意義な時間だったと思います。
30分ほど遅れて弁護団が到着すると、今後の裁判の見通しが説明されたのですが、
新任の裁判長はやはり裁判の短縮を狙っており、曖昧模糊としたマイナンバー制度の全貌を時間をかけてクリアにしていく努力を放棄して、制度の内容が不明なままでも結審したいという意向であると。
また、裁判長の異動は4月に行われるのが慣例で、中途半端な時期での異動は異例であること、異動の予定を仄めかす裁判長もいるが、今回の人事を弁護団はまったく関知しておらず、寝耳に水の交代劇であったということが明かされました。
筆者は個人的に前任の裁判長には好感を抱いており、仕事ぶりを評価していたので、
今回の人事は残念というよりも、やられたな~という敗北感を禁じ得ません。
質疑応答の時間は活発に意見が交わされたのですが、今年度の住民税特別徴収税額通知書の配布にあたり、マイナンバーの一部を伏せて配布した自治体が少なくなかったが、それが違法であるという認識を総務省が示したという話が出ました。
しかし総務省の回答は場当たり的で、その場その場で二転三転するという報告もありましたが、誤配や情報漏洩に対する責任の所在は曖昧なまま、特別徴収税額通知書に関する総務省の締め付けは来年以降強まるであろうと。
また、警察の捜査目的でのマイナンバーの利用も話題に上りましたが、捜査対象者の
個人情報を入手する際に、警察は個人番号の掲示を敢えて求めないケースがあるという話は興味深いと思いました。
個人番号入りの情報を入手した時点で管理責任が生じることを避けたいのではという
意見が出ましたが、警察でさえ忌避するマイナンバー制度とは何なのかという疑問が生じました。
以上がマイナンバー違憲訴訟東京第6回口頭弁論のレポートですが、今月の14日は
神奈川訴訟の口頭弁論、次いで16日には初めての試みとなる全国交流会が横浜で開催される予定です。
以下に日程をまとめましたので、ご都合の合う方は裁判の傍聴や集会への参加をお願いします。
筆者は上記の両日とも足を運ぶ予定なのですが、全国で展開されている訴訟の原告が
一堂に会する交流会を楽しみにしています。
神奈川訴訟 第5回 9月14日(木)15時30分~ 横浜地裁101号法廷
第1回全国交流集会 16日(土)13時30分~ 神奈川県保険医協会
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