マイナンバー違憲訴訟原告のブログ

とある原告の視点からマイナンバー制度を考えてみたいと思います。

マイナンバー違憲訴訟東京、第15回口頭弁論

 先月の25日に開かれたマイナンバー違憲訴訟東京第15回口頭弁論では、原告による本人尋問が行われました。神奈川訴訟で証人として法廷に立たれた原田富弘氏が、この日は原告として尋問を受けられたのです。

 自治体の職員として長年勤務された経験を持つ原田氏のお話は、行政における現場の実態を知る上で興味深く、真摯な言葉で自らの考えを述べられていました。

 大きなポイントは3つで、まず自治体の窓口ではマイナンバー制度の導入によって手続きが煩雑になり、事務負担の増大になっていると。

 原田氏が勤務されていた世田谷区では窓口業務のワンストップサービスを導入しておらず、電子申請のみでは本来の業務が遂行できない。利用者と直接面接することで個々の事情に沿ったサービスを提供できるので、電子申請は実態にそぐわないとのこと。

 また、生活保護の二重申請はホームレスのケースが多く、そもそも住所を持たないのでマイナンバーでの管理は不可能である。 

 東京訴訟も8月には最終弁論となり結審が近いゆえか、珍しく(と言うより、初めてでしょうか)男澤裁判長が原田氏の尋問に耳を傾けていたのが印象的でした。

 左陪席の若い裁判官も時折頷きながら聞き入っていましたが、やはり行政の現場を知り尽くされている原告のお話は説得力があると思った次第です。

 

 裁判後の報告集会で伺った原田氏のお話で興味深かったのは、マイナンバー制度を推進する総務省が出しているQ&Aで、本人が個人番号の提出を拒否した場合は情報連携はしないと明示していることです。その際には代わりの書類を提出させれば良いという回答で、マイナンバーの提出拒否はけして無駄ではないというお話でした。

 また、電子申請にはマイナポータルにアクセスするための機器を購入する必要があり、子育て関連の手続きや生活保護の申請を希望する市民の実態に則していないと。

 福祉のサービスを受けるのは高齢者等、電子申請が困難な市民が大半を占めているので、高齢化社会マイナンバー制度の推進は時代に逆行していると、原田氏は述べておられました。

 ここへ来て裁判所が判決を急いでいるのは、今年の後半には制度の利用を推し進めたい政府の思惑が絡んでいると。裁判所が出す合憲という判断を錦の御旗にして、国民にマイナンバーカードの所持をゴリ押しするのが狙いだと原田氏は述べておられましたが、それは裁判所が合憲という判決を書くことが前提となっており、やはり結論ありきの裁判で終わるのだろうかと。

 以上、簡単ではありますが、マイナンバー違憲訴訟東京第15回口頭弁論のレポートを終えます。来月の29日が最終弁論となりますので、ひとりでも多くの方に足を運んで頂き、一審最後の裁判を見守って頂ければ幸いです。

  

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